暮らしのコト

満腹御礼 ご当地肉グルメの旅

売り切れ続出! 米沢の人気弁当「牛肉どまん中」のおいしさの秘密に迫る

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全国各地のウマい肉料理をお腹いっぱい食べ尽くしていく連載「満腹御礼 ご当地肉グルメの旅」。今回は山形県米沢市にやってきました。

山形県の最南端に位置し、福島県との県境にある米沢市は、上杉謙信をはじめとした上杉氏の城下町として栄えてきた街です。江戸時代の名君として知られる米沢藩9代目藩主、上杉鷹山がのこした「為せば成る、為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」という言葉は、歴史に詳しくない人でも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

米沢市は特別豪雪地帯に指定されるほど雪深い街。

そんな米沢といえば、全国的に有名なブランド牛「米沢牛」をはじめとした牛肉料理が自慢です。市内には焼肉、しゃぶしゃぶ、すき焼きなど牛肉料理を味わえる店が数多くあります。

駅のホームにも米沢牛の像が設置されています。

そんな米沢の肉グルメの中でも、全国にその名を轟かす肉グルメがあります。それが牛丼弁当の「牛肉どまん中」です。関東から東北にかけての主要駅で販売されているだけでなく、各地の駅弁イベントにも引っ張りだこの人気者です。

そんな「牛肉どまん中」を生産するのが、JR米沢駅前にある「新杵屋」です。今回は総務部主任の亀山直人さんに「牛肉どまん中」についてお話を聞きました。

新杵屋の本社工場直売店は、米沢駅前にあります。2Fには、米沢牛料理が味わえる「食房 杵」も。

亀山さん「新杵屋は大正10年(1921年)に菓子店として創業しました。そして昭和32年(1957年)から、米沢駅で弁当の販売を始めました。最初に誕生したのは、今も人気の『元祖牛肉弁当』です。その後、発熱剤入りタイプのものや、幕の内弁当など商品の種類も増えていきました。そして、山形新幹線開通の翌年、平成5年(1993年)に『牛肉どまん中』を発売するに至ったのです」

「牛肉どまん中」という名前は、非常に親しみやすいのですが、どういった由来があるのでしょうか?

亀山さん「名前の由来は、お弁当に使われている米の品種『どまんなか』からきています。山形県オリジナルの新品種として、平成5年に『はえぬき』と同時に登録されたのが『どまんなか』です。同じ年に生まれたこともあり、このお米を採用して、名前もそれにちなみました」

名前の由来もお肉かと思いきや、意外にもお米の品種名だったのですね。今回は、人気弁当が作られているところを特別に見せてもらいながら、こだわりを聞いてみました。

亀山さん「一番のこだわりは、やはり秘伝のタレですね。メインの牛肉は二回に分けて煮て、二回目の際に秘伝のタレで味付けをしています。このタレのレシピは会社でも数人しか知らない、“企業秘密”なんです」

二回煮ることで牛肉の余分な脂を落とし、秘伝のタレで味付けし肉の中心まで染み込ませます。

工場の中は、盛り付けの手順に合わせて分業化されているのですが、どの調理工程を見てもひとつひとつ丁寧に、手作業で行われていました。

亀山さん「牛肉どまん中はもちろん、他のお弁当に関してもほぼ手作業でお作りしているので、平均で1日2000食ほどしか作れません。そのため、午前中で完売してしまうこともあるんです」

実際、販売されている12の駅の中でも、最も数の出る東京駅では、午前中に完売してしまうことが多いそうです。

ハイシーズンになると1日5000食も作る日もあるというお弁当は、なんと手作りでした。

そしてこちらが、秘伝のタレと、丁寧な手作業で完成した「牛肉どまん中」です。

「牛肉どまん中」1250円(税込)。

ギッシリときれいに、牛肉が敷き詰められています。

包装を開けると、隙間なくたっぷりと敷き詰められた牛肉が現れます。牛肉の煮付けは、薄切りタイプとそぼろの2種類。甘じょっぱい香りが、食欲をそそりますね!

薄切り肉からは、コクの深い醤油ベースのタレの味が広がります。噛んでいくと牛肉から甘い脂が溶け出し、どんどん旨味が増していきます。ご飯にも、タレがしっかりと染み込んでいるので、より一層おいしさを高めてくれます。一方のそぼろは、薄切り肉よりも食感は噛みごたえがあり、強くタレの味を感じる印象です。ご飯はもちろん、お酒との相性もよさそう。

亀山さん「1種類の牛肉だけでお客さまが飽きてしまわないように、2種類の食感の違うお肉を入れてあります。片方だけ食べ進めるのではなく、両方のお肉を均等に食べていただくのが、最後まで美味しく食べるコツなんです」

名前の由来にもなったご飯も、お肉に劣らず素晴らしいおいしさです! お弁当にありがちな、冷めて固くなったご飯ではなく、牛肉と一緒にスッと持ち上げることができます。粘りも香りもよく、まさに牛肉を下から支える、縁の下の力持ちです!

薄切りとそぼろ、どちらの肉もご飯が止まらない味わいです。

付け合わせのおかずも「ニシンの昆布巻き」「たまご焼き」、「大根の桜漬け」と合間に食べるのにぴったりなラインナップになっていますね。

一度開ければ夢中になり、次の駅に着く前に食べ終えてしまっている。牛肉とご飯の味を存分に楽しめる、とても完成度の高いお弁当です。人気もうなずけますね。

牛肉どまん中には、このノーマルタイプの他に、味のバリエーションがいくつかあります。
さっぱりとしつつ牛肉のうまみをしっかり味わえる「牛肉どまん中 しお」1250円(税込)
ピリ辛な甘味噌で味付けされた「牛肉どまん中 みそ」(1250円、税込)
ピリッと辛い本格的なスパイスの香りがたまらない「牛肉どまん中 カレー」1250円(税込)
そして昨年発売されたノーマル、しお、みそ、その3種類を一度に味わえる「三味 牛肉どまん中」1350円(税込)

やっぱりノーマル、いや今日は変化を求めてカレー、結局選びきれずに三味、なんて選ぶ楽しみも牛肉どまん中にはあるんですね。

最新作の三味は、少しずつ色々な味が食べたいというお客さまの声から生まれた商品だそう。

亀山さん「発売以来、主に地元で販売してきましたが、デパートの催事やさまざまなメディアで取り上げていただき、今では米沢名物と言われるまでになりました。感謝の気持ちを込めて、私たちにできることは、一つひとつ丁寧にお弁当を作ることだけです。これからも心を込めて作り続けていこうと思います」

主要な駅では売り切れで買えないことがしばしばの大人気のお弁当。しかし米沢駅まで行けば、確実に購入できるはず。次の旅のお供に、ぜひ選んでみてはいかがでしょう?

  • 施設情報
    ●新杵屋 本社工場直売店
    住所:山形県米沢市東三丁目1-1
    電話:0238-22-1311
    営業時間:7:00~19:00、無休
    http://www.shinkineya.com/

※記事中の情報・価格は取材当時のものです。

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